2009年8月4日火曜日

用水路24kmに通水「砂漠にスイカ 潤したい」




             写真は、ネットよりコピー転載



2009.08.04 東京新聞・朝刊・アフガンの地で
     中村哲医師からの報告より、要約転載。


荒廃した大地で復興支援活動を続ける
非政府組織「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の
現地代表・中村哲医師は3日午後、
6年がかりで進めてきたアフガニスタン東部の
農業用水路約24kmで最後の水門を開放した。


熱風は時に50度を超える
過酷な環境の中で
680人の作業員と12台の重機、
30台のダンプカー。

5月完成を期したが、
土石流、
軍閥や米軍の妨害、
補修工事で
作業は遅れに遅れた。

6年3ヶ月の歳月と
16億円を投じた
ペシャワール会医療サービスの
用水路事業は、
最終地点に達した。

全長24.3kmの水路は
ガンベリ砂漠を貫き
クナール川に戻る。

4.5kmに及ぶ砂漠の現場は、
地道な作業以外に近道はない。
シャベルのひとかき、
石積みの一個が百の議論に勝る。

生き延びようする意志だけが
作業員の支えなのである。

マルワリード用水は、
その水で暮らす15万人の命綱。
作業員の近隣農民は
工事の正否が
何を意味するか知っている。


ガンベリ砂漠の緑化(耕地化)が
いかに大きな恵みをもたらすか。

朗報を届けたのはスイカである。

今春、
灌漑が始まった砂漠の末端で
農民達が真っ先に植えたのだ。

適度な砂質に寒暖の差、
強い日差しが相まって
甘くて大きなものが取れた。

皆がこぞって植えたので、・・・
ジャララバードからカブールまでの市場を総なめにして
一躍、名産地にのし上がった。

スイカが現金収入になろうとは、
試験農場も考えてはいなかった。

何と日本から輸入した種という。

種業者は
「アフガン復興」や「国際貢献」を
考えたわけではなかろう。

スイカが取れるなら
小麦もトウモロコシも確実だ。

無機質に見える砂漠は
意外に肥沃だ。
われわれが励まされる源泉も、
自然の恵みである。

過酷な自然は、
あまりに非力な人間の分限をわきまえさせ、
同時に恵みの準備する。

謙虚さと感謝の気持ちもまた、
大地に根ざす。

この実感を味わえるのは
幸運である。


「平和」とは
大地の上に築かれるもので、
自然と人間との関係のあり方が
大きな意味を持つような
気がしてならない。

敵は自分たちの中にある。

スイカと平和に何のつながりがあるか。
乏しい想像力を巡らすのはやめて
素直にその甘さに舌鼓をうち、
皆を激励する。

☆頭の下がる思いがします。

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